「貧富の差」「所得格差」「経済格差」は英語で?
wealth gap
wealth disparity
wealth inequality
【意味】貧富の差
income gap
income disparity
income inequality
【意味】所得格差
※income の代わりに earnings (収入)となる場合もあります。
economic inequality
【意味】経済格差
※補足
wealth 「名詞:富」
income 「名詞:収入、所得」
economic 「形容詞:経済の」
gap 「名詞:不均衡」
disparity 「名詞:差異、不均衡」
inequality 「名詞:不平等、不均衡」
基礎知識と関連語彙
「貧富の差」「所得格差」「経済格差」には一国内での格差や国家間の格差など多様な種類があり、その原因も様々です。
ここではこれらの「格差」の一般的な説明、基礎知識を関連語彙と共に紹介していきます。
まず、「貧富の差」は18世紀半ばの産業革命(the Industrial revolution)によって生産設備を持つ「資産家」とそれを持たない「労働者」に二分される資本主義(capitalism)の構造の定着と共に拡大を始めました。
一度定着した貧富の差は是正されること無く拡大を続け、社会不安を巻き起こしました。
その後、この不平等(inequality)に対して社会主義(socialism)や共産主義(communism)という平等(equality)を求める思想も登場し、1917年に初の社会主義国であるソビエト連邦(Soviet Union)が誕生しました。
しかし、1991年にソビエト連邦が崩壊し、社会主義は成功を収めたとは言えませんでした。
これは社会主義では働くインセンティブ(incentives to work)が十分に得られず資本主義国家ほど経済発展(economic development)できなかったことが一つの原因となっています。
現在では資本主義の考え方を基本としながら、政府が社会保障(Social security)等によって富の再分配(redistribution of income and wealth)をすることで経済に介入(government intervention)し、格差の是正と経済発展のバランスをとっている国家がほとんどです。
しかし、その政府の介入の程度も国によってさまざまです。
ヨーロッパを中心とした富の再分配を多く行う国を福祉国家(welfare state)といいます。
一方、アメリカ合衆国は基本的には政府の市場への介入を最小限とする自由市場経済(free market economy)を重視しています。
貧富の差が一度固定化すると、富の再分配のような国家の介入がなくては是正されることはありません。
貧しいと良い教育(education)、食事(foods)、医療(medical care)などを受けられず、その結果として良い仕事を得られる機会も少なくなり、世代を超えてどんどん貧しくなっていきます。
これを「貧困の連鎖」や「貧困の悪循環」(vicious circle of poverty)と呼びます。
貧富の差の良くない事ばかりを上げてきましたが、発展途上国が経済成長をする過程で「貧富の差」が一時的に広がることは避けられず、むしろ働く意欲につながるため、経済発展に好ましい影響があるという主張もあります。
関連英語スピーチ紹介
「How to reduce the wealth gap between Black and white Americans」
Kedra Newsom Reeves氏: TED TALK (外部リンク埋め込み)
英語例文
Level:★★★★★★☆☆ The wealth gap between America’s richest and poorer families more than doubled from 1989 to 2016. |
(和訳)アメリカの上位の富裕層と貧しい家族の間の貧富の差は1989年から2016年で二倍以上になった。 【ポイント①】The wealth gap between A and B (AとBの間の貧富の差) 【ポイント②】double (自動詞:二倍になる) |
Level:★★★☆☆☆☆☆ Economic growth slowed and the income gap widened. |
(和訳)経済成長は鈍化し、所得格差は広がった。 【ポイント①】income gap (所得格差) 【ポイント②】widen (自動詞:広がる 他動詞:~を広げる) |
Level:★★★☆☆☆☆☆ Global earnings inequality has decreased substantially since 1970. |
(和訳)国際的な収入格差は1970年から相当に減少した。 【ポイント①】earnings inequality (収入格差、収入の不平等) 【ポイント②】substantially (副詞:相当に、かなり) |
Level:★★★★★★☆☆ Income inequality may have positive effects on economic growth by providing incentives to work. |
(和訳)所得格差は働く誘因を与えることで経済成長に好ましい影響があるかもしれない。 【ポイント①】have positive effects on A (Aに好ましい影響がある) 【ポイント②】incentive to do (~する誘因、インセンティブ) |
Level:★★★★☆☆☆☆ Wealth inequality is much more severe than income inequality. |
(和訳)貧富の差は所得格差よりもかなり深刻である。 【ポイント①】much (比較級を強める) 【ポイント②】severe (形容詞:深刻である) |
Level:★★★★★☆☆☆ Coronavirus has the potential to increase economic inequality in almost every country. |
(和訳)コロナウイルスはほとんどの国において経済格差を広げる可能性がある。 【ポイント①】have the potential to do (~する可能性がある) 【ポイント②】economic inequality (経済格差) |
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